ジャーナリングとは|やり方・効果をやさしく解説

ジャーナリングとは何かを、やり方・効果に分けてやさしく解説します。問いを立てて自分を深掘りする、初心者向けのジャーナリングの始め方と、続けるための小さなコツまで。書く・振り返る・ことばにする、という過程を大切にする考え方を届けます。
「ジャーナリング」という言葉をよく聞くけれど、日記となにが違うのか、どうやればいいのか、よくわからない。この記事では、ジャーナリングとは何かを、日記との違い・やり方・効果に分けて、できるだけやさしく解説します。形式や正解に縛られず、「問いを立てて自分を深掘りする」という、ジャーナリング本来の楽しさを、今日から始められる小さな問いとともに届けます。
この記事でわかること
- ジャーナリングとは何か、日記・記録との小さな違い
- ジャーナリングのやり方 ― 問いを立て、自分を深掘りする
- 初心者がつまずきやすい罠と、続けるための小さなコツ
- ジャーナリングに期待できる効果と、その正しい捉え方
- 今日から始められる、ジャーナリングの問いリスト
01ジャーナリングとは ― ひとことで言うと
ジャーナリングとは、自分のための問いを立て、それに答えるように書いて、自分を深掘りする営みです。誰かに見せるためではなく、自分を知るために書きます。
ジャーナリング(journaling)とは、ひとことで言えば、自分のための問いに答えながら書いて、自分を深掘りする営みです。英語の「journal(日誌・記録)」が語源で、本来は日記や記録と境界のない言葉ですが、最近では「問いを立てて自分を探る書き方」というニュアンスで、とくに使われています。
大きな特徴は、「問い」を中心に書くことです。「今日こんなことがあった」と事実を並べるだけでなく、「それで、自分はどう感じたのか」「なぜそう思うのか」と、自分に問いかけて掘り下げていく。書きながら考える、考えるために書く。それがジャーナリングの core です。
ジャーナリングの土台には、感情や出来事を文章にすることが心理的な調子と関連するとする「表現的ライティング(expressive writing)」の研究もあり、ただの記録以上の意味が、書く行為そのものにあるとされています(※1)。
※1 出典:Pennebaker & Beall(1986)にはじまる「表現的ライティング(expressive writing)」関連の学術論文。出来事や感情を文章にする行為が心身の健康指標と関連すると報告されています(CiNii・Google Scholar で確認可能)。
02日記・ジャーナリング・記録の、小さな違い
厳密な定義論争はおいておいて、実用上のイメージだけ押さえましょう。混ざっていてもまったく問題ありません。大切なのは、どれも「過程」を自分で担っていることです。
「日記」「ジャーナリング」「記録」は、よく混ざって使われます。ここでは厳密な定義論争はおいておいて、実用上のイメージだけ押さえておきましょう。
| よばれ方 | 中心になる営み | 向いている人 |
|---|---|---|
| 日記 | その日の出来事や感情を残す | まずは毎日を振り返りたい人 |
| ジャーナリング | 問いを立て、自分を深掘りする | 自分を言葉で探ってみたい人 |
| 記録(ログ) | 測れる値や事実を蓄積する | 習慣や体調を追いたい人 |
境界はゆるやかで、混ざっていてもまったく問題ありません。「平日は日記、週末はジャーナリング」「体調は記録、気持ちはジャーナリング」と、目的で使い分けてもよいのです。大切なのは、どれを選ぶにせよ「書く・振り返る・ことばにする」という過程を自分で担っている、ということです。
「日記とジャーナリングは、目的・書き方・読み返し方のどこがどう違うのか」をさらに深く比較したい方は、ジャーナリングと日記の違い|目的・書き方・向いている人を比較をご覧ください。
03ジャーナリングのやり方 ― 問いを立て、自分を深掘りする
難しく考えないでください。ジャーナリングは「問いを1つ決めて、それに答えるように書く」だけで成立します。立派な文章は不要です。
では、具体的にどう進めるか。ジャーナリングは、次の3つのステップで回ります。
ステップ1:問いを1つ決める
まず、自分への「問い」を1つ決めます。これがジャーナリングの出発点です。問いは、出来事についてでも、感情についてでも、自分についてでもかまいません。「今日、少しでもホッとした瞬間はあった?」「最近、何度も感じている感情は何?」「いま、一番エネルギーを吸われているのは何?」など。
問いを決めることで、「何を書くか」に悩まずに済みます。これが、ただの日記とジャーナリングのいちばん大きな違いです。
ステップ2:問いに答えるように書く
決めた問いに、答えるように書きます。1行でも、3行でも、長く書きたいならそれでも。大切なのは、答えを急がないこと。「わからない」と書いても、その「わからない」をそのまま言葉にするのも、立派なジャーナリングです。
書きながら考えると、書き始める前には見えなかったことに気づくことがあります。それが、「書きながら深掘りする」ジャーナリングの楽しさです。
ステップ3:書いたものを読み返す
書き終えたら、少しだけ読み返します。読み返すことで、自分のなかの傾向や、繰り返す感情が見えてきます。この「振り返り」のステップを挟むことで、ジャーナリングは単なる書きっぱなしではなく、自分を知る営みになります。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 問いを1つ決める | 書く内容を絞る |
| 2 | 問いに答えるように書く | 答えを急がず、書きながら考える |
| 3 | 書いたものを読み返す | 自分の傾向を読み取る |
3ステップで、問いを立て、書き、振り返る。これが、ジャーナリングの基本形です。
04初心者がつまずく「3つの罠」と、続けるコツ
ジャーナリングが続かないのは、やり方がわからないからではなく、知らずに高いハードルを設定しているからです。
ジャーナリングを始めても、多くの人が数週間でやめてしまいます。原因は、やり方の難しさではなく、次のような「罠」にはまっているからです。
罠1:「正しいやり方」を探してしまう 「ジャーナリングには正しい書き方があるはず」と探すと、書き始める前に疲れてしまいます。ジャーナリングに形式的な正解はありません。自分が続けやすいやり方が、あなたにとっての正解です。
罠2:立派に・長く書こうとする 「深いことを書かなければ」と思うと、書くことが重くなります。1行でも、断片でも、書いた事実を認めてください。深さは、書いた量とは関係ありません。
罠3:答えが出ないと「意味がない」になる 問いに答えが出ないと、書くのをやめてしまう。でも、ジャーナリングは答えを出すことが目的ではなく、問いを言葉にして残すこと自体に意味があります。答えが出ない問いも、翌日の思考の種になります。
| 罠 | 続けるためのコツ |
|---|---|
| 正しいやり方を探す | 自分の続けやすいやり方を正解にする |
| 立派に・長く書こうとする | 1行でも、断片でも認める |
| 答えが出ないと意味がない | 問いを言葉に残すこと自体を成果にする |
3つの罠を外すと、ジャーナリングは「正しく書く課題」から「問いを楽しむ時間」に変わっていきます。日記が続かない原因や続ける設計について詳しくは、日記が続かない人のための、続く日記の作り方をご覧ください。
05ジャーナリングに期待できる効果と、正しい捉え方
ジャーナリングには効果があります。ただ、それは「魔法の即効性」ではなく、書き続けた結果、あとからついてくるものです。
ジャーナリングには、どんな効果が期待できるでしょうか。世の中でよくいわれる効果を、素直に並べてみます。
- 感情が整理される —— もやもやが、書くことで輪郭を持つ
- 自分の傾向が見える —— 繰り返す感情や行動に気づける
- 判断の軸が育つ —— 選択の理由が言葉になり、ぶれにくくなる
- 自己受容が進む —— 自分を認める瞬間が少しずつ増える
これらは、ジャーナリングを続けることで得られる、実感しやすい効果です。ただ、ここで少し立ち止まってみたいのです。これらはすべて「結果」の言葉で書かれています。「整理される」「見える」「育つ」「進む」。まるで、書けば何かが手に入るかのようです。
でも、書いた翌日に劇的に何かが変わるわけではありません。本当に価値があるのは、「効果が出たか」ではなく、問いを立て、書き、振り返る、その過程そのものです。過程を大切にすると、書けない日があっても「また明日、書こうと思えたこと」そのものが、すでに過程の一部になります。
| 結果軸で捉える | 過程軸で捉える | |
|---|---|---|
| 書く理由 | 何かを得るため | 自分を言葉にするため |
| 書けない日は | 「意味がなかった」 | 「問いを残せた」 |
| 続きやすさ | 効果が出ないと挫折 | 書くこと自体が目的なので続く |
効果は、過程を積み重ねた結果、自然についてくるもの、と捉えるのが正解です。この「結果より過程」という考え方について深く知りたい方は、なぜ日記を書くのかや、結果より過程をご覧ください。
06今日から始められる、ジャーナリングの問いリスト
問いに迷ったら、このリストから1つ選んでください。1行で答えるだけでも、立派なジャーナリングです。
最後に、今日から始められる問いのリストを届けます。問いに迷ったら、このなかから1つ選んで、1行で答えてみてください。
感情に目を向ける問い
- 今日、少しでもホッとした瞬間はあった?
- 今日、一番エネルギーを吸われたのは何?
- 今日、自然と笑ったのは、どんな時?
自分を深掘りする問い
- 最近、何度も感じている感情は何?
- いま、少しでも「やりたい」と思うことは?
- 最近、「やりたくない」と避けていることは?
小さな方向を煮詰める問い
- 今週、もう少し大事にしたいことは?
- この1ヶ月で、少しだけ変わったことは?
- 来週、試してみたい小さなことは?
| 問いの種類 | ねらい |
|---|---|
| 感情に目を向ける | 自分の心地よい条件を探る |
| 自分を深掘りする | 繰り返す感情・行動に気づく |
| 方向を煮詰める | 小さな次の一歩を見つける |
問いを選び、1行で答える。それだけで、今日のジャーナリングは成立します。
07まとめ ― 問いを立てて、自分をことばにする
ジャーナリングとは、自分への問いに答えながら書いて、自分を深掘りする営みです。正解はなく、形式もない。あるのは、問いを立て、書き、振り返るという過程だけです。
この記事でお伝えしたかったことは、ひとことで言えば、こうです。
- ジャーナリングとは、問いを立てて自分を深掘りする書き方
- 日記・記録との境界はゆるやかで、混ざっていても問題ない
- やり方は3ステップ:問いを決める/答えるように書く/読み返す
- 効果は「魔法の即効性」ではなく、過程を積んだ結果ついてくる
- 問いに迷ったら、問いリストから1つ選んで1行から始める
「ジャーナリングに興味はあるけれど、難しそう」と思っていたあなたへ。ジャーナリングに正解はありません。あるのは、自分への問いと、それに答える1行だけです。立派な文章はいらない、毎日である必要もない。問いを残せたなら、それだけで今日のジャーナリングは成立しています。
まずは今日、問いを1つ選んで、1行だけ書いてみませんか。
08参考文献・出典
- Pennebaker, J. W., & Beall, S. K. (1986) にはじまる「表現的ライティング(expressive writing)」関連研究 —— 出来事や感情を文章にする行為が心身の健康指標と関連すると報告。出典:学術論文(CiNii・Google Scholar で確認可能)。
- Ulrich, M. et al や Lepore, S. J. ほか —— ライティングを用いた感情処理・自己認知に関する研究。出典:学術論文。
- 日本心理学会・日本臨床心理士会 —— 心理学用語の定義参照先(自己受容・自己効力感等の平易な言い換えの根拠)。出典:各学会公開資料。
本記事で紹介する内容は、一般的な習慣化・自己理解の考え方であり、医療情報ではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関や専門の相談窓口(よりそいホットライン 0120-279-338/こころの健康相談統一ダイヤルなど)をご利用ください。
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